2009年10月27日
私の職業3
結局その病院には丸3年勤務しました。
看護婦の仕事の特殊さの一つには、日常的に多くの人々の死の場面に立ち会う事がいえるでしょう。
3年と言うと短い方かもしれませんが、それなりに多くの方の臨終の場面に立ち会いました。
臨終の場面には、その人の人生が全て現れると言えるような気がします。
しかし、どんな人生を送ってきた方でも、魂の世界に返っていった後の肉体は、
安らぎと静けさに満ちていて、いつも敬意を表さずにはいられませんでした。
私のいた病棟には常に50人前後の患者さんがいましたが、どの瞬間にも様々な段階がありました。
死に直面している人も、治って退院する人も、入退院を繰り返す人も・・・
看護婦はどの患者さんへも平常心で接する事を求められます。
死を迎えている患者さん・家族の方々に掛ける言葉もなく、落ち込みながら部屋を出ても、
その気持ちを引きずったまま、元気を取り戻した患者さんの所には行けません。
私は「無感動・無表情」の仮面を着け、淡々と仕事をこなしていく事を選びました。
先輩たちの中には、患者さんと一緒に泣いたり笑ったりする、
人間味あふれる人もたくさんいらっしゃいましたが、私にはそれは出来ませんでした。
きっと、経験から来る余裕が出てくるまで待てば良かったんでしょうけどね。
患者さんと感情を共有したが最後、自分の中の何かが崩れてしまいそうでした。
臨終の場面だけでなく、看護婦としての重要な役割の中に「患者教育」というのがあります。
例えば、胃潰瘍の患者さんの場合、日常生活やストレス等が大きく関係していると言えます。
ストレスが多い生活・ヘビースモーカー・食生活の乱れなどが重なれば胃に穴が空く事もあるでしょう。
そんなサラリーマンのお父さん達に(サラリーマンが多かったなぁ)
「胃潰瘍にならない為にはどうするか」という教育をするのです。
一時的には内科的治療や安静、ストレスの原因になっていた職場から離れる事で胃の穴も治って退院しますが、
数ヶ月後、再びその人は胃潰瘍で入院してくる事も良くあります。
私のいた内科病棟では、昼休みに、看護婦それぞれが、受け持っている患者さんに対しての看護計画を発表し、
それについてみんなで意見を出し合う、というカンファレンスをしていました。
ある日私は、自分の受け持った胃潰瘍の患者さんに対する看護計画を発表し、
さらに深くその人の生活背景なども考えながら看護婦同士で話をするうちに、
「タバコをやめましょう」など、物理的現象だけに注目して伝えるだけでは全く効果がない事に、私は気がつきました。
『この患者さんも、胃によくないと頭ではわかるけど、だからといって仕事をやめられないし、禁煙も無理、
となったらどうすればいいんだろう?看護婦は何が出来るんだろう?
もっと深いレベルで働きかけないと、人は簡単には変わらないんじゃないか?
でもこの場合、本人が本当に胃潰瘍になりたくないと思って行動するなら、
結果として職場を変わったり、禁煙出来る様にもっと積極的に行動するかもしれない。
それが出来ないと言っているうちは、無意識のレベルでは病気になる事を選んでいるのではないか?
じゃあ、無意識に働きかけるにはどうしたらいいんだろう?他に何かやり方があるんじゃないか?』
エネルギーヒーリングが看護学校の必須科目になっている国があったり、
ヒーリングを含めた代替医療が、健康保険の対象になっている国もあると言う話も聞いたことがあります。
だけど今の日本でそれは望めませんし、ベットサイドで看護婦がヒーリングなんて始めたら
大問題になってしまいますね。
私の中ではこういう結論に達しました。
「もっと深いレベルで、人に本当の変化をもたらす事が出来ないだろうか?」
それは、当時の自分自身にも通じるものでした。
その頃、プライベートでも恋愛関係の大きな壁にぶつかっていました。
理由は、いつもの失敗のパターンをまた繰り返そうとしているのでした。
二度と同じ失敗はしないように、と自分に言い聞かせたり、努力していたのですが、
全く効果がないのです。
しかも自分の中では、仕事で大変な思いをして少しは人間的に成長している様な気がしていたのに、
全然違うんです!!
「人は苦労したり、大変な思いをたくさんするほど成長する」という
大昔から言われてきた誰かの言葉を信じて、自分に当てはめようとしていた事に気がつきました。
(その言葉もある一面から見ればそうかもしれませんが、
今では『人の成長は苦労の多さでははかれない』事を体験を通じて知っています)
仕事にもプライベートにも、全てに行き詰まった私は、ますます表情がこわばっていきました。
20代だったら、この状況を改善するためにまた新しい世界に飛び込んだ事でしょうが、
これ以上職業を変えて必死で勉強しても、心の平安は得られないと分かりました。
ついに八方塞がりになってしまいました。
(つづく)
看護婦の仕事の特殊さの一つには、日常的に多くの人々の死の場面に立ち会う事がいえるでしょう。
3年と言うと短い方かもしれませんが、それなりに多くの方の臨終の場面に立ち会いました。
臨終の場面には、その人の人生が全て現れると言えるような気がします。
しかし、どんな人生を送ってきた方でも、魂の世界に返っていった後の肉体は、
安らぎと静けさに満ちていて、いつも敬意を表さずにはいられませんでした。
私のいた病棟には常に50人前後の患者さんがいましたが、どの瞬間にも様々な段階がありました。
死に直面している人も、治って退院する人も、入退院を繰り返す人も・・・
看護婦はどの患者さんへも平常心で接する事を求められます。
死を迎えている患者さん・家族の方々に掛ける言葉もなく、落ち込みながら部屋を出ても、
その気持ちを引きずったまま、元気を取り戻した患者さんの所には行けません。
私は「無感動・無表情」の仮面を着け、淡々と仕事をこなしていく事を選びました。
先輩たちの中には、患者さんと一緒に泣いたり笑ったりする、
人間味あふれる人もたくさんいらっしゃいましたが、私にはそれは出来ませんでした。
きっと、経験から来る余裕が出てくるまで待てば良かったんでしょうけどね。
患者さんと感情を共有したが最後、自分の中の何かが崩れてしまいそうでした。
臨終の場面だけでなく、看護婦としての重要な役割の中に「患者教育」というのがあります。
例えば、胃潰瘍の患者さんの場合、日常生活やストレス等が大きく関係していると言えます。
ストレスが多い生活・ヘビースモーカー・食生活の乱れなどが重なれば胃に穴が空く事もあるでしょう。
そんなサラリーマンのお父さん達に(サラリーマンが多かったなぁ)
「胃潰瘍にならない為にはどうするか」という教育をするのです。
一時的には内科的治療や安静、ストレスの原因になっていた職場から離れる事で胃の穴も治って退院しますが、
数ヶ月後、再びその人は胃潰瘍で入院してくる事も良くあります。
私のいた内科病棟では、昼休みに、看護婦それぞれが、受け持っている患者さんに対しての看護計画を発表し、
それについてみんなで意見を出し合う、というカンファレンスをしていました。
ある日私は、自分の受け持った胃潰瘍の患者さんに対する看護計画を発表し、
さらに深くその人の生活背景なども考えながら看護婦同士で話をするうちに、
「タバコをやめましょう」など、物理的現象だけに注目して伝えるだけでは全く効果がない事に、私は気がつきました。
『この患者さんも、胃によくないと頭ではわかるけど、だからといって仕事をやめられないし、禁煙も無理、
となったらどうすればいいんだろう?看護婦は何が出来るんだろう?
もっと深いレベルで働きかけないと、人は簡単には変わらないんじゃないか?
でもこの場合、本人が本当に胃潰瘍になりたくないと思って行動するなら、
結果として職場を変わったり、禁煙出来る様にもっと積極的に行動するかもしれない。
それが出来ないと言っているうちは、無意識のレベルでは病気になる事を選んでいるのではないか?
じゃあ、無意識に働きかけるにはどうしたらいいんだろう?他に何かやり方があるんじゃないか?』
エネルギーヒーリングが看護学校の必須科目になっている国があったり、
ヒーリングを含めた代替医療が、健康保険の対象になっている国もあると言う話も聞いたことがあります。
だけど今の日本でそれは望めませんし、ベットサイドで看護婦がヒーリングなんて始めたら
大問題になってしまいますね。
私の中ではこういう結論に達しました。
「もっと深いレベルで、人に本当の変化をもたらす事が出来ないだろうか?」
それは、当時の自分自身にも通じるものでした。
その頃、プライベートでも恋愛関係の大きな壁にぶつかっていました。
理由は、いつもの失敗のパターンをまた繰り返そうとしているのでした。
二度と同じ失敗はしないように、と自分に言い聞かせたり、努力していたのですが、
全く効果がないのです。
しかも自分の中では、仕事で大変な思いをして少しは人間的に成長している様な気がしていたのに、
全然違うんです!!
「人は苦労したり、大変な思いをたくさんするほど成長する」という
大昔から言われてきた誰かの言葉を信じて、自分に当てはめようとしていた事に気がつきました。
(その言葉もある一面から見ればそうかもしれませんが、
今では『人の成長は苦労の多さでははかれない』事を体験を通じて知っています)
仕事にもプライベートにも、全てに行き詰まった私は、ますます表情がこわばっていきました。
20代だったら、この状況を改善するためにまた新しい世界に飛び込んだ事でしょうが、
これ以上職業を変えて必死で勉強しても、心の平安は得られないと分かりました。
ついに八方塞がりになってしまいました。
(つづく)
Posted by ピュアライト at 11:18│Comments(0)